水星社は処遇が困難といわれる自閉症者のQuality of Lifeを真剣に追及します。自閉症という障害が世界に発表されてから長く経ちますが、わが国における自閉症児者とその家族への福祉対策はまことに貧しいものがあります。自閉症児者は児童福祉法および知的障害者福祉法において権利擁護されていることになっていますが、今日における自閉症スペクトル障害の概念に照らし合わせると、その福祉対策が不十分であることは明白です。
また、Quality of Lifeは一般的に『生活の質』と表現されていますが、ノーマライゼーションの理念を基に考えるなら、Quality
of Lifeは『人生の質』ととらえなければなりません。なぜなら『生活の質』では、障害を持つご本人やそれを支えるご家族の時間軸についての発想が欠如しているからです。